特に理由なんてない

今日髪を切ってきた。

正確に言うとパーマをかけただけで、カットは5mmくらいしかしてない。ロン毛の5mmなんてマジ誰も気づかないレベルの誤差。ボクですら本当に切られたのか定かではない。でもカット料金はしっかり取られる。

理不尽さを覚えながら、「カットとパーマで!」って元気よく言ってしまった自分の選択ミスなので何も言えない、言わない。グっとこらえる。

昔からそうなのだが、思い立って髪を切りに行くときは、大体気分が滅入ってる時もしくは気分転換をしたい時だ。滅入っているときにヘンテコな髪形にされるとそれはそれでめっちゃへこむので、ここ10年同じ人に切ってもらってる。

ボクなりのリスクヘッジ。

仕上がりはほぼ想定通りだ。さすがリスクヘッジ担当大臣。

だけど、いまいち気分が上がらない。

でも、その時は突然やってきた

「あのー、すいません…?」美容院からの帰り道で不意に声を掛けられる。ベージュのコートを着た髪の長い30代前半くらいの女性だろうか、ボクは足を止めて振り返る。

「もしかしてジャニーズの〇〇さんですか?」

ボクは(困ったなぁ…)といった何とも言えない表情を作りながら、彼女の問いかけに答える。

「昔はね…」ボクは小声で答える。

「大ファンなんです!」パァッと彼女の顔が輝くのがわかる。ずいぶん昔の話なのにまだこんなことを言ってくれる人がいるんだなぁと感慨深くもありながら、昔の話なのでそんなに騒がないでよ、って気持ちもある。

「写真、一緒にいいですか?」

「いや、ちょっ待っ…」ボクが答える前に、彼女はスマホを取り出し腕を組んで自撮りを始めた。

カメラを向けられると笑顔でピースサインを作ってしまう。昔の習性ってのはいくつになっても抜けきらない。ミッキーのものまねしてって言われたら100人中98人が「ハハッ!!」って言ってしまうのと同じくらいすりこみというのは恐ろしいものなのだ。

「ありがとう、寒いから気をつけて帰ってね」ファンを思いやる私、かっこいい。そう自惚れながら、ボクは階段を降りた。

ボクにだってそういう時はある

はい、そうです。全部嘘です。ボクの妄想です。

38歳のおじさんが、一人で芋焼酎のお湯割り飲みながら吉幾三ベストをAppleMusicで聞きながら書いてる文章です。

現実逃避です。

要はそれくらい、メンタル堕ちてるんです。これと言った大きなトリガーはなくても細かい奴が積み重なってできる凹みもあるんです。経年劣化のメンタル版です。

ボクも人間なので、そういう時だってあります。

寝るぞ!